ナフサ由来製品の調達困難を毒物劇物取扱責任者の視点で徹底解説
区政レポート
2026.06.11
板橋区議会
テーマ:
ナフサ由来製品の調達困難を毒物劇物取扱責任者の視点で徹底解説
政府・経済産業省の見解と民間の現場で起きている
👉「調達困難」という悲鳴・・・。
板橋区議会でも度々話題になっていますが、解説できる方は少ない。本日は、毒物劇物取扱責任者の立場で解説します。
この両者の温度差の正体は、嘘や矛盾ではなく「マクロの総量」と「ミクロの流通・品質」という見ているレイヤーの違いにあります。
毒物劇物取扱責任者の立場で徹底解説します。
では、基本的なデータとサプライチェーンの構造から現在の需給ギャップを検証します。
「量」があっても「種類・品質」が合わない。
輸入ナフサは一様ではありません。
パラフィン(石蝋成分)の含有量などにより組成が異なります。
中東産から他地域産への急な代替により「ナフサの総重量は足りていても特定の樹脂や添加剤、溶剤を作るのに適した組成のナフサが足りない」という品質のミスマッチが発生しています。
これにより、基礎化学品からさらに枝分かれする川下の合成樹脂(PP・PE等)やインク用添加剤などの生産バランスが崩れています。
【検証結果】
「原料ナフサは足りているか?」
👉マクロの総量としては(代替調達により)ギリギリ足りている。
「ナフサ由来製品の不足は本当か?」
👉本当。
バッファー(在庫)が薄い中で、原料の品質変化やプラント減産、さらに過剰発注による流通の目詰まり(二重の打撃)が重なり川下の実需層には必要な種類・品質の製品が届いていません。
「川中(基礎化学品プラント)」から「川下(各種製造業・生活物資)」へと向かうサプライチェーンにおいて、具体的にどのような調達リスクが、どれほどの規模で発生しているのか?
👆公開されている経済統計や民間調査機関のデータから検証してみましょう。👀
1. 企業への影響規模
8割の企業が「マイナスの影響」
日本の製造業の裾野は広いため川上で発生したナフサ不足が「プラスチック」「ゴム」「塗料」「溶剤」と形を変えあらゆる業界の調達を麻痺させつつあります。
2. 川中(プラント・中間材)での制限規模
最大25%超の値上げと出荷制限
ナフサから第一段階として作られる「中間材・樹脂原料」のレイヤーでは、物理的な割り当て(出荷制限)とそれに伴う価格高騰の具体的な数値が判明しています。
👉樹脂・配管材(塩化ビニル・ポリエチレン)
信越化学工業や積水化学工業といった大手メーカーがエチレン供給制限を受け出荷制限・納期調整を開始。
クボタケミックスなどは、新規注文受付を一時停止する事態に追い込まれました。
これにより部材価格は15%〜25%超の値上げ(2026年4〜5月期)となっています。
👉産業用溶剤(トルエン、キシレン、アセトン等)
塗料や印刷インク、器具洗浄に不可欠な有機溶剤は、3月中旬のホルムズ海峡の混乱以降、出荷制限がダイレクトにかかっています。
「前年度実績以上の注文は不可」といった厳しい「割り当て制(クオータ制)」が敷かれており、中小の化学・塗装・加工現場ではスポット調達すら困難な状況です。
3.川下(最終製品・エンドユーザー)でのリスクの顕在化
川中で製品が絞られた結果、川下の最前線(食品、建設、流通)では実害が数字や目に見える形で現れています。
ナフサを取り巻く環境には「中東への超高依存構造」や直近の輸入価格が即座に川下にのしかかる日本独自の価格ルール「ナフサフォーミュラ」そして政府の「在庫は足りている」という説明とは裏腹に現場の不安から生じる「自衛の囲い込み(流通の目詰まり)」といった構造的なリスクが絡み合っています。川下の市場が小さいだけにその影響が大きいワケです。
👆まずは、優先順位をつけて緊急性のある分野から課題を解決し順番に流通を正常化して行くしか無いと考えます。



